太陽系外惑星の新機軸:地球型惑星へ

文部科学省科学研究費補助金 新学術領域研究(研究領域提案型) 23年度~27年度

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採択公募研究のご紹介⑥

巨大ガス惑星と原始惑星系円盤の共進化:インナーホール形成モデル
谷川 享行(北海道大学 低温科学研究所)

 

 1995年に初めて太陽系外惑星(太陽以外の恒星の周りを公転する惑星)が発見されて以来、現在までに600を超える大量の惑星が発見されている。これら発見された大量の太陽系外惑星の惑星配置から統計的に明らかになったことは、我々の太陽系とは似ても似つかない惑星系が多数存在することである。例えば太陽系最大惑星である木星は、太陽から5.2AU離れた位置を1周11.8年かけてゆっくり回っているが、発見された太陽系外惑星には、木星よりさらに大きな巨大ガス惑星が中心星に非常に近い位置をたった数日という周期で公転しているものも多く存在しており、これらの形成過程は観測的にも理論的にも明らかになっていない。

 惑星系は、恒星の形成過程の副産物として必然的に形成される恒星周りの円盤(原始惑星系円盤)の中で形成されたと考えられている。この原始惑星系円盤が恒星の形成期・形成直後に存在することはこれまでの観測により確認されていたが、近年の高解像度の観測により、その空間構造まで明らかになりつつある。その中でも注目を集めている構造の一つに、原始惑星系円盤の内側に「インナーホール」と呼ばれる”穴'”が空いている円盤がいくつも発見されていることである。このような、円盤内側部分が失われつつある段階にあると考えられている円盤は遷移円盤 (transitional disks) と呼ばれ、その成因の一つとして円盤中で形成しつつある巨大ガス惑星による重力摂動が予想されているが、詳細な研究はまだ行われていない。既存のいかなる望遠鏡をも遙かに凌駕する解像度・集光能力をもつ大型電波干渉型巨大望遠鏡 ALMA がいよいよ本格稼働を迎え、詳細な円盤構造が観測的に次々と明らかになってくることが確実であるため、惑星の形成過程とインナーホールの関係を理論的に解明することは急務である。

 そこで我々は、惑星が原始惑星系円盤中で形成しつつある場合に起こりうる物理素過程を一つ一つ丁寧に調べ上げ、惑星と原始惑星系円盤が共にどのように進化をするかを解明し、惑星の存在と原始惑星系円盤の構造にどのような関係があるかを理論的に明らかにすることを目指して研究に取り組んでいる。特に、惑星系の形成過程に大きな影響を与えうる巨大ガス惑星が、原始惑星系円盤中のどこで形成を開始し、原始惑星系円盤にどのような影響を与えつつ成長・移動するのかを解明していく予定である。これにより、原始惑星系円盤の観測的な特徴と、そこで起きているであろう惑星形成プロセスの関係を明らかにし、惑星形成過程の解明に貢献する。

 

上図:原始惑星系円盤中でガス惑星がインナーホールを形成する様子。惑星は重力相互作用により外側からの粘性降着してきた円盤ガスをせき止めるが、その一部は惑星自身が捕獲し、一部は内側へと通過し、惑星自身もこの相互作用により移動する。この過程でインナーホールの面密度が決まる。

 

上図:原始惑星系円盤中でガス惑星がインナーホールを形成する様子。惑星は重力相互作用により外側からの粘性降着してきた円盤ガスをせき止めるが、その一部は惑星自身が捕獲し、一部は内側へと通過し、惑星自身もこの相互作用により移動する。この過程でインナーホールの面密度が決まる。